あえぎ声がフロア中に響き渡った事件とは?

以前勤めていた某出版社の某編集部では、ヘッドホンイヤホンで音楽を聴きながら(もしくは動画を観ながら)仕事をするのが許されていた。というか私が編集長だったので、昔からの習慣でOKにしていたのだ。真面目な編集長がいる編集部ではNGのところもあったかもしれないが、私は自慢ではないが不真面目な男である。一度たりともNGをだしたことがなく、むしろ私自身が好んでそういうスタイルをつくりあげてきたのだ。だからこそ、悲劇的な事故というのが生まれてしまう。今日はこの話をするのだが、それに先立ちまずはこちらの動画を観ていただきたい。

これは海外の某大学の講義中に起きた、どうやら本当に話らしい。講堂に響き渡るあえぎ声。それに気づいた学生の1人が、スマホで動画を撮り始めたのだろう。そしてレンズは、ヘッドホンをつけてノートパソコンを凝視し続ける1人の学生に向けられる。そう、この学生は、講義中にアダルト動画を観ていただのだ。ところが、である。ヘッドホンのコネクタは、ノートパソコンにしっかりと挿さっていなかったのだ。彼の一連の行動をトレースしてみると、おそらくこうなる。

①ノートパソコンのサウンド端子にヘッドホンのコネクタを挿した
↓ だが実際は、きちんと挿さっていなかった
②アダルト動画を再生するが、音が小さいと思いボリュームを大きくした
↓ おそらくヘッドホンをしていたため 小さくしか聞こえなかった
③ボリュームが大きくなったぶん、講堂中に響き渡った
↓ ヘッドホンをしていたため気づかなかった
④事態に気づいた彼は、あわてて講堂を逃げだした

ありえない話と思われるかもしれないが、私自身、これとかなり近い経験が、恥ずかしながらある。編集部のパソコンでアダルト動画を観ようとして再生を始めた瞬間、フロア中にあえぎ声が響き渡ってしまったのだ。そう、ヘッドホンを挿し忘れていたのである。すぐ気づいて再生を止めたことと、確か20時過ぎでフロアに人が少なかったため、幸いなことに騒ぎにはならなかった。もし、午後一ぐらいでこの事件を起こしたら、私は会社を辞めるハメになったかもしれない。

会社のデスクトップパソコンでなぜこのようなことが起こるのか、疑問に思われる方もいるだろう。しかし、外付けスピーカーのヘッドホン端子を経由して音楽を聴いていると、こうなる。iPhoneやiPadだと、ヘッドホンのコネクタが外れた瞬間に再生が止まるからこうした事件は起きないのだが、外付けスピーカーからコネクタが外れたら、音はそのボリュームのまま流れだす。それがスピーカーの役割だからだ。ましては、コネクタに挿してなければ……。ふつうの出版社なら外付けスピーカーなどはつけないだろうが、私がいたところは、パソコンやIT関係の出版物も扱っていた出版社。そういう機器は、編集部に捨てるほどあったのだ。そしてそれをつけていたからこそ起きた悲劇だったのである。

しかし、当事者には笑えない話だが、周りの人からすれば苦笑、爆笑するしかないもの。私の場合は一瞬の出来事で終わったからよかったものの、証拠の動画まで残され、全世界に公開された学生にとっては、悲劇でしかない。というか、全世界的にウケる爆笑ネタ。逃げだした学生が講堂からでた瞬間を見計らって、みんなで爆笑しながら拍手喝さい。私も観ていて、自分の過去の失敗を思いだしながらも、ついにやけてしまった。

ちなみに日本でもこの手の事件は起きていて、鹿児島県霧島市の某高校では、試験監督中の男性教師がスマホでアダルト動画を見ようとして、教室中に怪しげな音声を数秒間流してしまったという。今年(2016年)の8月のニュースなので、ついこの間の話だ。

男性教師は、音声を消していたつもりで再生を始めたのだが、このスマホがiPhoneなら、おそらくこういうことだろう。iPhoneのサウンド切替スイッチサイレントにしていても、動画のボリュームは動画を再生したときの位置のままである。つまり、イヤホンをしていないと、再生時にそのボリュームで音が流れるのだ。私もこの仕様についてはいささか不思議に思っていたが、常にイヤホンで音楽や動画の音声を聴く人にとっては、再度ボリューム調整する手間が省けて便利なのは間違いない。男性教師はサイレントにしたから動画を観てもだいじょうぶ! と思っただろうが、iPhoneの設計思想上、そういうことにはなっていない、ということだったのだ。

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写真■iOSの仕様で、この状態でサイレントにしても、再生を始めるとこの位置のボリュームで音が鳴る。だからここで止めてしまうと、とんでもない悲劇が待っているのだ。私もたまに、自分が撮ったハメ撮り動画を自宅外で観ることがあるから、気をつけなければならない(これはその1つ)

いまの会社のパソコンには外付けスピーカーはついておらず、またiPhoneやiPadで音楽を聴きながら、もしくは動画を観ながらの作業もできないため、以前のような悲惨な事件をふたたび起こす心配はない。しかしそれはそれで、いささかものたりないと思うのも事実。まぁ、仕事は仕事として割り切るのが、サラリーマンには欠かせない資質だと思うのだが……。