強姦ゲーム『177』はなぜ伝説となったのか?

刑法強姦罪は、第177条に条文が記載されている。

暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。

もし強姦罪の番号が「176」(強制わいせつ)や「179」(未遂罪)だったら、このゲームの開発者は違うタイトルにしていたのでは、と私は思う。「1」と「7」という奇数の、人に好まれやすい数字だけで構成されるこのタイトルはカッコよくも見え、また危険な雰囲気もどこかしら漂う。そう、伝説の強姦ゲーム、『177』(マカダミア・ソフト)の話である。

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写真■伝説となった強姦ゲーム、『177』のオープニング画面
(引用:PurrfectTrio Longplays Ep.29: 177(PC88))

伝説となったのは、過激すぎたからではない。国会で取り上げられ発売中止に追いこまれた、初めてのアダルトゲームだからだ。発売中止になり、入手が困難になると、「あの伝説の……」となる。私も学生のころから『ログイン』や『コンプティーク』といったパソコン雑誌を読んでいたため、このゲームの存在は知っていた。知っていたが、自宅にあるのはソニーのMSXパソコン「HitBit」だけ。177はNECのPC-8800シリーズ用とシャープのX1シリーズ用しか発売されていなかったので、やりたいと思っていてもできなかったのだ。そして突然の発売中止。もっとも当時はまだパソコンのアダルトゲームにそれほど強い関心は抱いていなかったので、「ふーん」としか思わなかった記憶がある。

ところが近年、YouTubeやニコニコ動画が台頭し、ユーザーが気軽に動画を投稿できるようになったおかげで、この『177』の全貌をあますところなく見ることができるようになった。ストーリーや画面写真はいろいろなサイトで見ることができていたが、やはり動画でないとリアルさが伝わらない。そのなかでもっとも長く、かつゲームオーバーとハッピーエンドの両方のエンディングを見ることができる動画がコレである。


動画■動画を作成し、公開したのは外国人で、コメントも英語が飛び交う。世界的にも伝説になっているのだろうか?
(引用:PurrfectTrio Longplays Ep.29: 177(PC88))

177は2部構成となっており、前半の177 ACT.ONEは、主人公(大内秀雄)が以前から目をつけていた斎藤琴絵を追いまわし、服を剥ぎ取っていくというスクロール型アクションゲーム。全裸にし、押し倒せば後半の177 ACT.TWOが始まり、キーボードの特定キーを使って琴絵をイカせるという、こちらもアクションもどきのゲームとなっている。

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写真■前半は横スクロール型アクションゲーム。障害物を飛び越える姿はなんとなく間抜けだが、ここで服をすべて剥ぎ取り、押し倒さなければ次に進めないため、必死でがんばるしかない
(引用:PurrfectTrio Longplays Ep.29: 177(PC88))

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写真■先にイカせるつもりが、自分がイッてしまい、力が抜けてしまう。こうなると逮捕、そして刑務所行きだ
(引用:PurrfectTrio Longplays Ep.29: 177(PC88))

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写真■無事、琴絵を先にイカせることができた。あとは感動? のエンディングを迎えるだけ!!
(引用:PurrfectTrio Longplays Ep.29: 177(PC88))

なお主人公の最終目的は琴絵を強姦して満足することではなく、自分のモノにすること。このため177 ACT.TWOで琴絵を先にイカせ、満足させられれば、結婚というハッピーエンドを迎える。ただ、逆に自分が先にイッてしまったり、制限時間を過ぎても琴絵をイカせられないとゲームオーバー。つまり、刑法第177条の強姦罪、または第178条の準強姦で逮捕、刑務所行きとなるのだ。琴絵には彼氏がいるという設定らしいから、満足させられなければ訴えられるのは当然だろう。逆に満足しさえすれば、彼氏を捨て、それまで一面識もなかった男と結婚するのだから、設定がぶっ飛んでいると思われても仕方がない。ほかにもアダルトゲームがありながら、この177が問題視されたのは、このあたりの設定にも原因があるだろう。

ちなみに私が所有しているぶんか社の『美少女ゲーム歴史大全 1982-2000』によれば、一度は発売中止にはなったものの、その後、修正が加えられ再発売になったとある。ただ、修正の具体的な内容までは書いていないので、先に紹介したYouTubeの動画が修正前のものか修正後のものかはわからない(修正前のものだとは思うが)。

もう1つこれも余談だが、177を開発したマカダミア・ソフトは、『フラッピー』や『うっでいぽこ』などのゲームソフトや、PC-9800シリーズ用ワープロソフト『P1.EXE』『ARUGA』を世に送りだしたデービーソフトがわざわざ用意した、ソフト名。マジメなソフトを販売していたこともあり、さすがに自社名では抵抗があったのだろう。私も一時、『P1.EXE』を仕事で使っていたことがあり、なかなかの使い勝手だったのを覚えている。ただ後継ソフトの『ARUGA』はすさまじく重くユーザーから不評で、この失敗がのちの事業停止につながったのは想像に難くない。いまとなっては、懐かしい思い出の1つでもある。